なぜSDGsなのか?~バックキャスティングの夢~

SDGs

昨年末に以前の同僚3人と飲んだのですが、みんな私よりちょっとだけ年上で、すでに定年を迎えています。

3人ともそのまま再任用という形で仕事を続けており、それそろ年金が出るので辞めようかどうか悩んでいるようです。

その時、私は「SDGsカードゲーム 地方創生」の講習会帰りだったので、その話をしました。この3月でいったん退職して、ファシリテーターの仕事にも挑戦してみたい、というようなことです。

けれど、話をしてみると、誰も「SDGs」を知りませんでした。「何それ?」という反応です。

名前くらい聞いたことがあるだろうと思っていたので、3人とも知らない、ということにもちょっと驚きましたが、2019年8月の調査では、SDGsの認知度は27%(朝日新聞社の調査による)だということですから、まあ無理もないのです。

ちなみに年代別にみるとやはり年齢が上がるにつれて知っている率は下がり、60代は23%。この数字から見れば無理はないですね。

そしてそのとき、こういうまったく知らない人にSDGsをどう分かりやすく伝えればいいのか、ふと困ってしまったんですね。

それはとりもなおさず自分自身の理解と落とし込みが不十分だということの証左です。17のゴールや169のターゲットの詳しい内容も頭に入っているわけではありません。何冊かの書籍やカードゲーム体験会などで得た知識が、必ずしも有機的に結びついていないということです。

そこで自分なりに、なぜ自分がSDGsに取り組もうとしているのか、理解度0%の人に話すことを前提にまとめておこうと思います。

SDGsとは何か?

  • SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略称で、【持続可能な開発目標】の意味。
  • 2015年9月の国連サミットで、加盟全193か国全会一致で採択された。
  • 地球の抱える問題を解決するための、2030年までの世界共通の目標。
  • 2001年に策定された、発展途上国向けミレニアム開発目標(MDGs)の後継。
  • SDGsには17の目標と169のターゲット(目標に紐づき具体化したもの)がある。

SDGsの概略はこんなものかなと思いますが、これだけではSDGsがなぜ大切なのか、なぜ世界で広まっているのか、という疑問には答えられませんね。

そして、SDGsを達成するために何ができるのか、達成するとどんなことが起きるのか。

これについては、「国際連合広報センター」が作った『SDGs シリーズ「なぜ大切か」【改訂版】』が詳しいと思います。

SDGs の17の目標別に、なぜこの目標が設定されたのか、何が問題となっているのか、取り組まなかったらどうなるのか、私たちには何ができるのかなどを、短くわかりやすくまとめたチラシになっています。

https://www.unic.or.jp/news_press/info/24453/

「これを読めば大体わかるよ」と言うこともできるのでしょうが、うーん、何か足りません。

「自分ごと」としてのSDGs

思うに、自分自身がこのSDGsで何をしたいのか、を語らない限り人には伝わらない気がするのです。

つまり、SDGsを自分ごとととらえ、それを意識しながら、考えながら生活することが少しでもできるようになりたい、なってほしい、という思いです。

それは大きく言えば地球のため、未来世代のためということでしょうが、もっと言えば自分のためでもあります。

残された時間を、自分の喜びや幸せのために費やす(それも譲れませんが)だけでなく、誰かのためになっていると確かに感じられることのために費やしたい。それが自分の生を充実させてくれるという感じでしょうか。うまく言えませんが。

今まで環境や平和の問題は自分なりに考え、生徒にも伝えてきたとは思います。でも、伝わりきらないものは必ずあり、物足りなさ、これでいいのかという違和感は絶えずありました。

「環境を守ろう」「戦争や貧困のない世界を作ろう」という理想をただ掲げているだけのような…

SDGsは、そんな自分に新しい眼を開かせてくれました。「環境」「社会」だけでなく、そこに「経済」の視点を。

SDGsの”D”は”Development”、「開発」です。経済成長して社会問題も同時に解決する、という視点です。

これなら、自分の違和感は解消されます。

総合的に言えばSDGsとは、「環境問題を考慮し、戦争や貧困のない世界を、経済的に発展しつつ作ろう」という、欲張りな目標だと思います。でもその「八方良し」の考えこそが、すべての人に受け入れられる素地を持ち、すべての人を幸せにするものですよね。

世界中で起きている紛争や差別、核や環境問題などを見ると、これは絶対解決しないと思うしかありませんでした。

でも経済発展という目的なら一致できる可能性があります。個人レベルでなく、国家も、企業も取り組む意義があります。

そしてだからこそ”Sustainable”と言えるんですよね。

「バックキャスティング」の夢

おそらく、そうは言っても、とは言え、という声は出てきますよね。

「現実的に考えれば、実際に達成するのは難しい」 「個人ができることは限られる」という声です。

でも、SDGsにはあるんです。それを払拭してくれる言葉、それが「バックキャスティング」です。

変化を生み出していこうとするとき、現状からどんな改善ができるかを考えて、改善策をつみあげていくような考え方をフォアキャスティング(forecasting)といいます。それに対して未来の姿から逆算して現在の施策を考える発想をバックキャスティング(backcasting)といいます。

例えば、現在もっているリソースから考えて適度なチャレンジを設定するのはフォアキャスティング。どうしても必要な目標を設定し(多くは到底達成不可能と思えるレベル)、やり方を後からなんとかして考える、というのがバックキャスティングにあたります。

具体的な例でいうと、顧客データの処理件数を毎期5%向上させようと計画したとします。当該部門はこの数字をさまざまな「改善」で達成しようとします。つまり現実の延長線上に、現実的な策を講じていくことになるわけです。

それに対して1年後に処理件数を50倍に増やす、という設定をしたらどうなるでしょう?もはや現在のやり方の改善では到底達成は無理というようなレベルです。こういうレベルの目標を設定したとき、人は従来の改善というオプションを捨てて、根本的に異なる発想をするものです。例えば関わる人員を削減してAIの活用を考えるかもしれませんし、そもそもの処理フロー自体をドラスティックに変えることに着手するかもしれません。

別の言葉で言えば、フォアキャスティングは現状を考えた改善的なアプローチ、バックキャスティングは創造的破壊を生みだすアプローチとも言えます。

(中略)SDGs自体はバックキャスティングの発想で作られています。つまり「具体的なやり方はわからないけど、とにかく私たちの世界は2030年にはこういう状態になっている必要があるのだ」と、相当にチャレンジングな目標として設定されているのです。

https://imacocollabo.or.jp/blog/backcasting/ イマココラボHPより

遠い先の、不可能に見える目標を達成するためには、現実からの積み上げ型では無理です。とにかく達成のためにやり方を考える。それはSDGsを自分ごととして捉えたその瞬間から始まります。

ヒントはあるけれど、マニュアルはありません。そしてだからこそ面白く、やりがいもある。

この「バックキャスティング」がSDGsの本質であること、それも私にとって重要なファクターでした。

「すべてはつながっている」「全部を同時に」そして「私も起点」

「夢」かもしれません。でも、「まぼろし」ではないかもしれません。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
5+