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そもそもファシリテーションとは?
ファシリテーション(facilitation)とは、人々の活動が容易にできるよう支援し、うまくことが運ぶよう舵取りすること。集団による問題解決、アイデア創造、教育、学習等、あらゆる知識創造活動を支援し促進していく働きを意味します。その役割を担う人がファシリテーター(facilitator)であり、会議で言えば進行役にあたります。
↑こちらがFAJ(日本ファシリテーション協会)のホームページにある説明です。
FAJのサイトはこちら↓
知識の「伝達・習得」ではなく「創造」。まさにこれからの授業などで目指す方向性です。
もちろんすでに学校でもペアやグループ活動を取り入れており、話し合い中心の授業も行われていますが、今までの講義型に慣れた先生や生徒にとってはまだ試行錯誤の段階。なかなかハードルが高いものになっています。
どうすればいい話し合いを支援し、促進できるのか、そのスキル、ノウハウを共有していく必要があると思います。
ただファシリテーションに関する本もネットでの情報もたくさんあり、どこから手をつけたらいいのかは迷うところです。
FAJは特定非営利活動法人
その中でFAJを選んだのは、ここが特定非営利活動法人(NPO法人)だったこともあります。
講座を受けても資格を取れるわけではありませんが、逆にファシリテーションをきちんと学ぶ、という目的にいちばん合っているのではないかと。
2004年に作られたそうですが、おそらくまだファシリテーションという言葉がそれほど一般的ではなかった頃だと思います。
それから15年、全国で1,500人以上も会員がいる組織をNPOとして続けていくのはなかなか大変だと思うのですが。
そこでまず東京支部が開催している定例会に先月参加をしてみました。
定例会は毎月第4土曜日に行われてます。会員でなくても一度だけお試し参加ができるということでした。(会費は年間1万円です)
東京の場合、20〜40人ほどの定員のテーマが4つほどあり、どれかを選んで参加するわけですが、早々に満員になるテーマもあります。
私が参加したのは「ファシリテーション・ゲーム」というテーマで、『THE SDGs Action cardgame「X(クロス)」というカードを使ってのワークショップ。
(カードについて、詳しくはこちら→)https://www.kanazawa-it.ac.jp/kitnews/2018/0920_sdgscard.html
初対面の人ばかりでしたがすぐ打ち解け、お試し参加にもかかわらず、会員と同じように扱ってくれたのがとても心地よく感じられました。
楽しく過ごせたのと同時に、ファシリテーションだけでなくSDGsカードについても知ることができ、とても有意義な時間でした。
毎月1回の定例会は、頻度としてはちょうどいいかなと思ったこともあり、すぐに会員に。そしてそのまま基礎講座にも申し込みました。
基礎講座は土曜日の朝10:00から18:30まで、昼を除いてみっちり7時間30分の講習でした。ファシリテーションのスキルを中心に、講義とワークで学びました。
ひとつのグループが5人なので全部で20人。それが3会場あるのでだいたい60人くらいが参加しているようです。
同じテーブルには20〜40代とおぼしき女性3人と男性が。他のテーブルを見ても若い方が多く、どうも自分が最年長かもしれません。
最初は緊張でみんななかなか話せませんでしたが、最初の自己紹介で打ち解け、昼食も一緒に。こういう交流がいいですよね。
最初に講師の方からファシリテーションについての概要説明。そして4つのスキルの説明とワークをやっていくというスケジュールです。
(4つのスキルとは→https://www.faj.or.jp/facilitation/)
ここでスライドや資料の内容を詳しく載せることはできませんが、今までやってきた「ファシリテーション的」なことが再確認できた部分もあり、しかしそれが自分の独りよがりな部分でもあるということも強く実感しました。
実際に擬似ファシリテーターとしてグループワークをやってみたときのことです。
話し合いの目的は何か?
「中学1年生担当教師として、スマホ学校持ち込みを認めるべきか」というテーマが与えられました。
20分という時間の中で、容認派と禁止派が意見を出し合い、それを安易な妥協でなく、納得のいく合意に持っていくことが必要です。
それまで学んできたこともふまえ、話し合いのゴールを「時間内に決定すること」とし、そのためのルールも詳しく提示しました。
その結果、「安全対策のために校内への持ち込みは認めるが、使い方に対する不安があるので使用することは禁止」という、双方が納得のいく形で「決定」することができました!
…と言いたいのですが。
ある程度自信を持って話し合いを進めていたのですが、落とし穴がありました。
振り返りの時間にU氏(男性)がこんなことを言ってくれたんです。
「確かに話し合ってる時は対立側の意見にも納得した気がしたけど、議事録(ファシリテーションしながらホワイトボードに私が書いたもの)を見ると、なんだかちょっと違うなと思うところもありますね。」
そう、「時間内の決定」を急ぐあまりに、それぞれの意見を十分吸い上げられていなかったうえ、それを要約して記載する部分が疎かになっていたようです。
なるほどねー
となると、最初に話し合いの目的を「時間内に決定する!」としたのが間違っていたのかもしれませんね。
それで少し急ぎ過ぎたことで、参加者をこういう気持ちにさせちゃったんでしょうね。
ふだん似たようなことをやっていて慣れてる「つもり」でいたのが、逆に仇になったとも言えます。
何より大事なのは「合意形成のプロセス」であるのに、ゴールを急いだあまり、オフサイド気味だったってことでしょう。
大切なのはスキル以上にマインド
最終的に思ったのはそういうことです。
ファシリテートとして、これが絶対正しい、という方法はなく、その場その時、どのようにするのがよいのか判断しながら話し合いを進めなくてはなりません。
マニュアル的なものはあったとしても、それを生かす心のあり方が大切だと。
双方向のコミュニケーションを心がけ、個人・多様性を尊重し、対立にも忍耐強く話し合いを進める…
難しいですが、その通りです。
テーブルのメンバーにも恵まれ、講座終了後には近くの中華料理店で懇親会。年の差はかなりありましたが、さまざまな職種の若者からいろんな話も聞けました。
そして講師の方からはさらに深いお話を聞くこともできて、あっという間の2時間。
朝の10時から夜の10時くらいまで、ずっと集中したり緊張したりしていましたが、それ以上に楽しくて、夜もなかなか寝つけませんでした。興奮状態だったんでしょうか。
ファシリテーションの難しさと、コミュニケーションの喜びとに包まれて幸せな1日でした。
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