しるし
作詞・作曲 桜井和寿
最初からこうなることが決まっていたみたいに
①違うテンポで刻む鼓動を互いが聞いてる
どんな言葉を選んでも どこか嘘っぽいんだ
②左脳に書いた手紙 ぐちゃぐちゃに丸めて捨てる
心の声は君に届くのかな? 沈黙の歌に乗って・・・
ダーリンダーリン いろんな角度から君を見てきた
そのどれもが素晴らしくて 僕は愛を思い知るんだ
③「半信半疑=傷つかない為の予防線」を
今、微妙なニュアンスで君は示そうとしている
問1 傍線部①はどのような様子を表しているか、簡潔に説明せよ。
問2 傍線部②はどのような気持ちを表しているか、比喩表現に注意して説明せよ。
問3 傍線部③はどのような気持ちを表しているか、説明せよ。
ときどき、生徒にこんな問題を出します。
たとえば2006年に出されたミスチルの「しるし」の歌詞です。
この曲を教室で流すと、イントロだけで分かる高校生も多いのですが、もう13年も前の歌なんですね。
さて、曲は知っていても、その歌詞の意味になるとそこまで深く考えないことも多いので、授業で取り上げるとなかなか盛り上がります。
①~③の問題も、一生懸命考えたり話し合ったりしてますが、意見はいろいろです。
そもそもこのなかの二人は、恋愛真っ最中なのか、それとも別れを目前にしているのか、もう別れてしまったのか、どうにも取れますからね。
桜井和寿氏はこの詞について、こう語っているそうです。
日本テレビMusic Lovers Specialにて桜井和寿が「しるし」について以下のように語っています
『これは自分が作ろうと思って作った曲ではなく・・
頭の中に浮かんだときに、凄くいいメロディだと思ったので、このメロディにどういう歌詞をのっけようかと思って。
別れの歌なのか、すごく恋愛真っ只中の歌なのか・・
でも、そもそも考えてみるとどんな物語であったって、そこに伝えたいことってその中にある 想い じゃんと思ったんです。
だから物語を限定しないで別れの歌にも恋愛の歌にもどちらにもとれるような、想い だけがそこの中心にあるような歌が書けないかなって思ってこの「しるし」が出来たんです』(桜井和寿) [引用元]http://nakeru.blog23.fc2.com/blogentry-471.html
だから前述の問題の答えも、いろいろ出て来て当然なんですよね。
「物語」よりも「想い」でできた歌。その美しいメロディーももちろんですが、この言葉の魅力に圧倒されます。
本物の恋愛中のカップルなら、きっと「半信半疑=傷つかないための予防線」がどんな気持ちなのか分かりますよね(//∇//)
では問1〜3の解答例は次回。
しるし 作詞・作曲 桜井和寿
最初からこうなることが決まっていたみたいに
①違うテンポで刻む鼓動を互いが聞いてる
どんな言葉を選んでも どこか嘘っぽいんだ
②左脳に書いた手紙 ぐちゃぐちゃに丸めて捨てる 心の声は君に届くのかな?
沈黙の歌に乗って・・・
ダーリンダーリン いろんな角度から君を見てきた そのどれもが素晴らしくて 僕は愛を思い知るんだ
③「半信半疑=傷つかない為の予防線」を
今、微妙なニュアンスで君は示そうとしている
さて、まずは恋愛中の歌、という解釈での解答「例」、いきたいと思います。
傍線部①「違うテンポで刻む鼓動を互いが聞いてる」はどのような様子を表しているか。
→これはもう、「愛し合う二人が体を寄せ合っている様子」ですよね。で、心臓(ハート)のリズムがお互い違うことに気づき、でもそのリズムが心地よく、いつまでも聞いていたい、という・・・
生徒に、隣の人の鼓動を聞いてごらん、と言うと、あちこちで悲鳴が上がったりして面白いです^ ^
傍線部②「左脳に書いた手紙 ぐちゃぐちゃに丸めて捨てる」はどのような気持ちを表しているか。
→「愛しているという強い思いを伝えるための適切な言葉が見つからず、もどかしい気持ち」
なかなか浮かんでこない生徒には、左脳と右脳、どう違う?と問いかけてヒントにします。
これが科学的に証明されているかはさておき、一般的にはこういう役割分担があるとされてますよね。
自分の感情(=右脳)を言葉(=左脳)で一生懸命表現しようとするのだけど、どうしてもうまく言えない、あるいは伝えきれない、だから言葉にするのをあきらめて、「心の声」に期待するという・・・
「左脳」も「手紙」も「沈黙の歌」も、溢れ出る愛を何とか伝えたい、という「想い」がこめられた比喩、本当に上手いと思います。
傍線部③「半信半疑=傷つかない為の予防線」はどのような気持ちを表しているか。
これは少し迷いましたが、→「『僕』の強い愛情を感じるあまり、それがいずれ裏切られる(愛が弱まったり消えたりする)のではないかという不安から、かえってそれを信じることをためらう気持ち。」という感じなのでしょうか。
「愛」は感じるけど、まだお互いのことを分かり切れていない、だからまだ心からの「信頼」が持てない、そういう恋愛初期の段階なのでしょうね。
この曲を最初に聴いたときから、こういう気持ちなんだろうなってずっと思っていたので、そうではない解釈もあると聞いたら、なんだか裏切られたような気持ちがしましたよ(^_^;
聴いたときの気持ちや思い入れがあるんですよね、きっと。
もしこの曲が、恋人たちの別れの歌だったら、「違うテンポで刻む鼓動を互いに聞いてる」とはどういう状況なのでしょうか。
曲の入りのところなので、ここでの解釈でその後の受け止め方が変わってきますよね。
お互い好きだったはずなのに、今は何か気持ちがすれ違っている、合ってたはずの波長が合わない。
違う人間なのだから、違う部分があって当たり前なのに、今はその違いが気になって仕方ないんですね。
「左脳に書いた手紙」は、その心のズレをなんとか伝えたい、あるいは相手を傷つけないような言葉を考えるのだけど、やっぱりうまく言えない、そんな気持ちでしょうか。
そして「半信半疑」。愛への不信感なのか、すれ違いは「信じたいけど信じられない」感情を生んでしまう。
「傷つかないための予防線」とは、裏切られることへの不安と恐れ。信じなければ裏切られることはないけど、そしたらこの愛も終わってしまう…
こんな風にも取れる歌詞です。
この後も、そう思いながら聴くと、どちらとも取れてしまうから不思議(^◇^;)
「いろんな顔を持つ君を知ってるよ
何をして過ごしていたって 思い出して苦しくなるんだ」
ずっと一緒にいたいのにいられないから苦しいのか、別れようとしているけどやっぱり思い出してしまって苦しいのか。
「泣いたり 笑ったり 不安定な想いだけれど それが君と僕の愛のしるし」
どんなに愛していても、心の不安定さはつきまとう。それがどの時点なのかは、聴く人の受け止め方次第ですね^ ^
そして「しるし」でいちばん響くフレーズがここ↓
「共に生きれない日が来たって
どうせ愛してしまうと思うんだ」
紛れもない「想い」ですよね。
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