back numberの曲に登場する「僕」と「君」。いろんなシチュエーションがありますが、付き合ってはいても、前の彼女や彼のことがまだ心に引っかかっていることが多いですよね。
この「手の鳴る方へ」もそうです。彼女には元カレの「あいつ」の存在がちらつき、僕には「忘れられない人」である前の彼女がいます。
付き合い始めたころは、「あいつ」を忘れられていなくてもしょうがないと思っていたのに、今は違う。
「ここにいる僕」だけを見てほしい、そう変わったのは、どんどん「君」を好きになっているから。
あいつとの思い出を、新しく素敵な日々で塗り替えていこうよ。
君があいつのことを一途に思っていたことは、いいかげんな恋愛をしていたわけじゃないことの証明だから、仕方ないって頭では理解できる。でも。
僕も、君と付き合う前の彼女を忘れられなかった。でも君といれば、いることができるならそれでいいんだ。
…で、次の言葉がこの曲の決め手だと思います。
「それでいいやと思えたのさ それがいいと思えたのさ」
それ「で」いいやと、それ「が」いい、の違い。
この助詞の違いは、たとえば「コーヒーでいい」と「コーヒーがいい」というのとはちょっと違います。
上の例だと、いろんな飲み物があるなかで、特に希望はないので何でもいいですというのが「で」。コーヒーを飲みたいと意思表示をしているのが「が」。
でもback numberは、君といられるなら「忘れられない人」をもう忘れてもいい、という強い決意を歌っているんですよね。コーヒーどころじゃなくて。
「それがいいと思えた」と過去形になっているのは、そう思うようになるまでの葛藤も感じさせます。「僕」も前の彼女のことをちゃんと好きだったんですね。
だから君も同じように、あいつのことを忘れてほしいなあ、という気持ちなのですが、でもこれってなかなか難しいことだと思いませんか。
僕は忘れようと思ってる、でも君はまだ…
このちょっとしたすれ違いの切なさ。
「前に付き合っていた人と別れる」こと自体はありふれていても、別れた理由はそれぞれ違うはず。好きだったのに、どうしても別れざるを得なかったふたつのカップルがこの曲の中に想像されるんです。
ちゃんと付き合っていれば、「別れたから次」、なんて簡単にいかないですよね。
いや、そんなふうに見えるカップルもきっと心の奥で葛藤しているんでしょうね。依与吏くん、実体験かもしれないけど、やっぱり分かってますね^^
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